カインズサービス「メディア事業部」の山田です。
キーエンスといえば、今や年商5000億円を超えるビッグカンパニーです。
日本国内の時価総額ランキングでは、トヨタ・ソニーグループに続いて、国内3位の座を誇り、日本を代表する超優良企業でもあります。
そんなキーエンスでトップセールスとして活躍されていた天野眞也氏の著書「シン・営業力」を紹介させて頂きます。
本書を読んだ感想は「営業しない営業」こそ「最強の営業マン」であるということ。
天野氏が、キーエンス時代に取り組んでいた営業ノウハウをインプットしたので、本書の一部ですが、アウトプットさせていただきます。
本書が気になっている人や、営業で結果を出したいという人は、ぜひ最後までお付き合いください。
営業・セールスとしての3つの心得
本書では営業マンは以下の3つを理解しておくことが大切だと述べられています。
①営業の目的を言語化しておく
②法人の存在理由を理解しておく
③投資対効果を証明する
①営業の目的を言語化しておく
営業の本来の目的をちゃんと理解して営業活動ができている人は意外と少ないものです。
大体の人たちが「売上をあげる」「ノルマを達成する」など、ベクトルが自社や自分に向いた目的を持っていたりします。
そんな目的では顧客に対して失礼ですし、数字を上げることだけに目を向けた活動では、顧客にとって意味のある提案はできなくなるでしょう。
営業の真の目的は、お客様である顧客に目を向けることです。本書では営業を以下のように言語化しています。
私は営業の仕事を「お客様が事業・ビジネスを進める一歩目をつくる仕事」と定義しています。
シン・営業力より引用
顧客の成果に対して責任を持つこと、そして継続的な価値を生み出してこそ、本当の営業であると言えるのではないでしょうか。
カインズサービス「メディア事業部」の山田です。 仕事ができるようになりたい。 仕事ができる人に憧れている。 素早く最適解を選べるようになりたい。 一体どのような努力をしたら、実力のあるビジネスパーソンになれるのだろ[…]
②法人が存在する理由を理解しておく
営業は顧客となる「法人」の存在理由を理解しておく必要があります。
法人が存在する理由としてあげられるのは、「雇用を増やす」「納税する」「社会貢献」といったこともありますが、「利益を出すこと」が法人が存在する一番の理由です。
法人である限り事業がうまくいかなければその先のビジョンの実現もありえません。
シン・営業力より引用
だからこそ「利益を出すこと」が、どの企業にも言える共通の存在理由なのです。
このような視点を考えるならば、顧客である法人に対して、自分たちの提案するサービスが、将来的な利益につながるように提案活動することが、本当の営業の役割になるはずです。
③投資対効果を証明する
法人企業は、モノやサービスを購入し、投資をすることで、事業活動を進めています。
営業はモノやサービスを提案する時に「このサービスを導入したら、これだけのリターンが得られます」といった「投資対効果」を訴求する必要があります。
投資対効果のある提案をするためには、お客様がお持ちの課題(困りごと)や「どうしていきたいか」を聞かないことには始まりません。
シン・営業力より引用
その上であなたが提案する製品やサービスがどう役に立てるか、どのような利益があるかを提案すると、お客さんもあなたの提案をより熱心に聞いてくださるはずです。
支払い以上のリターンを得られるからこそ、企業はモノやサービスを購入しているという視点を忘れてはなりませんね。
「投資から生まれる利益」を顧客に対してしっかりと説明することは、自社サービスの必要性を訴える上でも大切なことだと思います。
電話営業・テレアポには3種類の目的がある
本書では「電話営業・テレアポ」には3種類の目的があると書かれています。
①アポイント獲得
②製品サービスのPR
③ヒアリング
上記の目的を混同したまま電話営業をすると成功率はグンと下がってしまいます。
よくあるのは、最初に自社サービスを説明して、ヒアリング、その後にアポを取ろうとすると、「今は必要ないからいいよ」と断られることってありますよね。(個人的によくこの流れになります…)
まず、アポイントをとることが目的ならば、中途半端に自社サービスを説明したり、ヒアリングをするのではなく、「一度、説明に上がりたいので訪問させていただけませんか?」と、ダイレクトにアポイントをとることに一点集中した方が結果は出やすいと感じました。
カインズサービス「メディア事業部」の山田です。 この記事を読んでいるあなたは、「ソーシャルセリング」という用語をご存知でしょうか? 本記事では「ソーシャルセリング」の詳しい内容について深掘りして解説いたします。 最後まで[…]
営業活動する時は「個人」にも目を向ける
法人企業に対して営業活動する時には個人にもちゃんと目を向けることが大切です。
①「法人」の中の「個人」にフォーカスする
②「法人」の中の「個人」は1人だけではない
①「法人」の中の「個人」にフォーカスする
営業マンは法人の課題を見つけて、「利益になることを提案」するのが基本ですが、その活動の中には窓口担当者という「個人」がいることを忘れてはいけません。
法人としての利益は期待できるが、担当者個人としては面倒くさくてやっぱりやりたくないというねじれが生じた時、契約には至りにくいのです。
シン・営業力より引用
法人企業にとっては有益な提案であったとしても、社内で担当者の労力が増えるようなことであったり、担当者の業務にとって有利に働かないことだと、契約に至ることはないでしょう。
できるならば、窓口担当者の負担になることを肩代わりしてあげて、なおかつ、担当者が社内で優位に立てるようなメリットが打ち出せれば、営業マンに協力してくれるのは間違いないでしょう。
②「法人」の中の「個人」は1人だけではない
法人の窓口というのは決して1人だけではありません。1人にアプローチしてダメだったのであれば、別のルートを探るようにしましょう。
担当者一人にアプローチしてNGだったとしても、そこで「別の担当者につながれないか?」と視野を広げられる営業になりましょう。
シン・営業力より引用
担当者1人が言っていたことを、会社全体の意見としてしまうのは、あまりに浅はかであり、勿体ないことです。
人事担当者がダメだったなら、総務課、営業部、それぞれの部署の担当者いアプローチして、キーマンとつながる努力をしていくことが大切です。
ターゲットにしている法人の中で、様々な部署情報を持っていることは武器にもなるはずです。
「営業しない営業」はお客様を「ファン」にすることに集中している
結果を出し続けて成功している営業は顧客にとって「会いたいと思われる営業」になれている人が多いです。
逆に「会う必要がないと思われている営業」には、チャンスは訪れづらいでしょう。
会いたいと思われる営業は、お客様をファンにしている状態だと言えます。
ファンとは私と気心の知れた仲のお客様であり、次のようなことをして私を応援してくれる存在を指します。
シン・営業力より引用
①出せる時社内情報は競合他社よりもいち早く教えてくれる
②1度は必ず私が提案する製品を検討してくれる
私の経験談ですが、自分の営業成績がグングン伸びていた時には、必ずファンとして支援してくれる担当者の方がいました。
競合他社との契約を後回しにして、発注を特命にして頂けたり、他部署のキーマンを積極的につないでくれたり、競合に依頼する前に、真っ先に情報をくれたり、色々な面でサポート頂いたおかげで、今の自分がいると今でも感謝しています。
営業が競合他社よりも有利に営業活動をするために、ファンはなくてはならない最大の味方なのです。
お客様をファンにする3つの秘訣
本書から学ぶ「営業マンがファンを増やすためにやるべきこと」は以下の3つだと思います。
①法人の情報を正確に把握する
②担当者との共通点を見つける
③ファン化できたお客様に紹介をお願いする
①法人の情報を正確に把握する
法人企業の情報をとにかく調べ尽くして記録しておくこと。決算時期、予算編成期などの情報、人事異動の時期、キーマンの情報。
自分が担当している部署だけでなく、他部署の動きなどを、リサーチしてまとめておくことで、担当者との商談時にも役立つ情報が届けられるようになるはずです。
自社について詳しい人間に対して、より高い親近感が湧くということは間違いないでしょう。
②担当者との共通点を見つける
担当者との共通点を率先して見つける。
例えば、「ゆかりの地」「出身校・学部・専攻」「趣味好み」こういった情報から担当者と共通点がないかを調べることが大切です。
自己紹介シートに自分の経歴や趣味嗜好などをまとめておくのも一つの手だと思います。
ビジネスとは言えども、人は感情の生き物です。何かを意思決定する時には、人の好き嫌いで決定されているということを理解して、担当者との親密度を高めていくことが大切です。
③ファン化できたお客様に紹介をお願いする
お客様に「お客様の紹介をお願いすること」も立派な営業活動です。天野さんは本書でこのように仰っています。
地道ですが、自分のファンになってくれる人に出会うまでひたすら人に会い続けることです。
シン・営業力より引用
量を意識してお客様と会い、組織情報と担当情報を集めていく過程であなたと気が合う人に出会うことができるはずです。
そして最初に出会った気心知れた仲になった方にこのようにお願いしてください。
わたしと相性が良さそうな社内の方がいらっしゃったらぜひ紹介してください。
誰もが自分のファンになってくれるわけはないですし、そもそもファンになってくれる人の方が稀なわけですよね。
であれば、とにかく人と会い、気心知れた仲になれる人を見つけていくこと。自分と気が合った人に対して尽くすこと。
その積み重ねの中で、本当の意味での「自分のファン」が生まれていくのでしょう。
そして、貴重なファンがまた新たなファンを引き合わせてくれるように、常にメッセージを伝えておくということがとても大切なのだと思います。
まとめ:元キーエンスのトップセールスに学ぶ「営業しない営業」こそ「最強の営業」である理由
本書を読んで率直に感じたことは、「営業は売ることが仕事だ」という価値観からのシフトチェンジが今まさに求められているということ。
顧客となる企業の利益だけではなく、担当者の利益になることを追求し、安心と信頼を持ってもらうこと。
「オンラインよりもオフラインで会いたい」と思われる営業になれているかが、勝負の分かれ目だと感じました。
DX時代になって、営業がやりづらいと感じている人もいるかもしれませんが、自分自身の行動や努力次第で、より成果が出せるのが営業という仕事の醍醐味なのだと思います。
営業に悩まれている方は、ぜひ手に取ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。