いま、働き方の大転換に向けた強力な機運が生まれている。
カインズサービス「メディア事業部」の山田です。
世界的ベストセラーの「ライフシフト」で有名なリンダ・グラットン氏の新著『リデザイン・ワーク 新しい働き方』では、「私たちの働き方はこれから大きく変わりつつある」と提言されています。
本書では、人類がこれまで以上に、きわめて長い職業人生を送る可能性が高まっているのに伴い、これまでの仕事のあり方を「リデザイン」する取り組みを進めるべきではないか?との主張がなされています。
本書の一部を引用しつつ、働く人それぞれが、今後どのような方向に向かっていく必要があるのかを一緒に考えていきましょう。
職業人生は「3ステージ」から「マルチステージ」へ移行する
本書では、「3ステージ」と呼ばれる、これまで王道とされてきた「学生→社会人→定年退職」というシンプルな人生の歩み方から、変化していくことが求められると述べられています。
そのため、今後は多くの人が「マルチステージ」の人生を意識する必要があり、「今のうちから行動しておきましょう!」というのが本書のメインテーマです。
マルチステージの人生を生きることが当たり前になれば、社員は、柔軟に会社に加わったり会社を辞めたり、副業を始めたり、再び学生に戻ったり、世界を旅したりできることを重んじるようになるだろう。
引用元:『リデザイン・ワーク 新しい働き方』より
「マルチステージ」とは、学校教育を受けて卒業したら、まずフルタイムで働きますが、ある時期が来たらサバティカルタイムをとって、あらためて勉学に集中する時もある。
時には、自分が行きたい場所に旅をしながらスキマ時間でギグワークをする。旅から帰ってきたら、またフルタイムで働く。そして、雇われながらも自ら起業する人も珍しくはなくなる。
あらゆる可能性や選択肢が並ぶような、マルチステージでは「人生の道筋」を自分で選択することが当たり前になります。
「マルチステージの人生」を選ぶ人は、「3ステージの人生」の場合よりも、「自ら選ぶ」という選択の回数が多くなり、より主体性が必要になっていくでしょう。
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大切なのは「アップスキリング」「リスキリング」に励むこと
本書を読んで強く感じたのは、「アップスキリング」や「リスキリング」などは、今を働く現役の人たちは、年齢を問わずして考えておく必要があるということです。
特にこれからは、AIやテクノロジーの発展によって、自分の「仕事のカタチ」が大きく変わる可能性があります。
コロナ前からすでに、テクノロジー・人口動態・社会の変化を受けて「解凍」しはじめていた企業もあった。自動化が進展すれば、社員が素早くスキルを磨きしたり(=アップスキリング)、ときには新しい職種で働くために新しいスキルを学んだりする(=リスキリング)必要性が高まり、学びがきわめて重要になるだろう。
引用元:『リデザイン・ワーク 新しい働き方』より
素早くスキルを磨き直すことを「アップスキリング」といい、新しい職種で働くために新しいスキルを学んだりすることを「リスキリング」といいます。
今後は多くの人が「マルチステージ」の人生を意識して、自分のライフプラン・キャリアプランを考えていく必要があると考えると、企業側もこれまで以上に「従業員教育」を重要視して考えておく必要があるのだと思います。
優秀な人材ほど「マルチステージ」を選択する
そう考えると優秀な人材ほど、「マルチステージ」のような働き方を選ぶようになるのではないでしょうか。
優秀な人材ほど「働き方の多様性」を大切にするでしょうし、働く会社を選ぶ時の基準も「多様性」があるかどうかに重きを置いて考えるようになるかもしれません。
マルチステージの人生を生きる人は、3ステージの人生の場合よりも主体性を発揮しなくてはならない。人生の道筋を自分で選択することが当たり前になるのだ。
引用元:『リデザイン・ワーク 新しい働き方』より
すると、その人たちは、職業人生のほかの側面でも主体的に選択することが上手になる。
60歳を過ぎてから自分のビジネスを立ち上げたり、世界を旅したりするのは、最初は一部の「社会的開拓者」だけかもしれないが、やがてそのような行動を取る人が珍しくなくなるだろう。
本書では、『とくに幸せに長生きしたいと考えている人たちは、友人や家族、地域コミュニティのために費やす時間を確保することの重要性を説くことが多かった。』というデータを取り上げていました。
積極的に学び、自分の未来への投資を惜しまないような、優秀な人材は、大切な人たちと過ごす時間を最優先に考えていたりします。
そういった優秀な人材を採用したいのであれば、「会社としての職場環境のリデザイン」が最重要になるのではないでしょうか。
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会社側も「職場環境のリデザイン」が求められている
今後、人手不足が加速していくことを考えると、採用する会社側も優秀な人材を採用できるように「職場環境のリデザイン」を早い段階から着手していく必要があるのではないでしょうか。
今日の企業は、大きな混乱と不透明性と未知の状況に直面している。そのような時代を乗り切るためには、社員同士の信頼関係が重要になる。
引用元:『リデザイン・ワーク 新しい働き方』より
高いレベルの信頼がある企業は、機敏性と柔軟性が高く、社員のストレスが際立って少なく、活力に満ちていて、高い生産性を発揮できる。そうした会社で働く人たちは、職場へのエンゲージメントが強く、満足度が高い。燃え尽き状態に陥る可能性も小さい。
そしてなにより、この種の職場は「心理的安全性」の恩恵に浴しやすい。
本当の気持ちを口にしたり、ほかの人の意見に異論を唱えたりしても、恥ずかしい思いをさせられたり、嘲笑されたり、拒絶されたりしないと安心できるのだ。
人生100年時代、これまで以上に長く働くことを考えるのであれば、所属する組織の「心理的安全性」は最も重要視する点だと思います。
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会社側も働く人のマルチステージを支援するような取り組みが必要になる時代がそこまで来ているのかもしれません。
「リデザインワーク」とは、人も組織も大きく変わっていく好機
リンダ・グラットン氏の『リデザイン・ワーク 新しい働き方』を読んでみて感じたのは、プラスにとらえるのであれば、人も組織も大きく変わっていく好機なのではないでしょうか。
働く人たちが何を主軸において仕事をしていくのか、企業は従業員の価値観に対してもっと敏感になるべきですし、労働者側の「働く人自身」も漠然と働くのではなく、仕事を通じてどのような自己実現を果たしていきたいのかを真剣に考えていくべきだと思います。
企業として長く存続していくためには、適正に利益を上げていく必要がありますが、それは人材なくして成し得ないものです。
そう考えるのならば、良い人材に選んでもらうための環境づくりも大切ですし、今、一生懸命に働いている従業員に選ばれ続ける工夫も大切なのではないでしょうか。
いずれにしても、時代のスピードは止まることはありません。
誰もが活き活きと仕事に向き合える社会を構築するためには、「働く人」「会社側」の意識をあらためて問い直す必要があるのではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。